理系学問は世界を変える。たとえば、昔のパソコン(ウィンドウズ95とか)と今のパソコンの画面を比べてみればいい。薄く、明るく、鮮やかになった。これは明らかに、青色発光ダイオード(LED)のおかげです。光の三原色(赤、青、緑)がそろうことで、あらゆる色(きれいな白も含め)を作ることができるようになった。
すでに1970年代までに、赤と緑のLEDは発明されていたけれど、青だけは、20世紀中の発明は不可能だと言われていた。しかし日本の研究者が高輝度の青色LEDの発明に成功したことで、ついに光の三原色がそろい、フルカラーの映像を作り出せるようになった。
パソコンの画面だけではない。信号機の色もクリアになったし、家庭のLED電灯が普及したのも、スクランブル交差点などのフルカラー広告が可能になったのも、青色LEDのおかげです。
技術が、明確に世界を変えた。だからこそ、この発明者には「21世紀を照らす発明」として2014年ノーベル賞が与えられた。
技術が世界を変える。しかもこの変化は、不可逆のようだ。「家庭で使われる電灯はLED」というのが標準になれば、もはや蛍光灯は使われない。蛍光灯の普及により白熱灯が使われなくなったように、LEDの普及が蛍光灯を駆逐するのは、必然的な流れなのかもしれない。

経産省は「2027年末までに、蛍光灯の製造、輸出入が終了する」と通告している。LEDのメリットとして、「電気代が安い、長寿命、CO2排出量削減」を挙げている。
しかし、本当にこれでいいのか?LEDにメリットがあることは確かだろう。しかしデメリットはないのだろうか?
ズバリ、健康上のデメリットを指摘したい。

ロンドン大学の神経学者グレン・ジェフリー教授が、「LEDは“第2のアスベスト”だ」と主張している。
「LED照明は絶対に避けるべきだ。自宅、学校、オフィスなどで長時間LEDにさらされる人々にとって、LEDは“新たなアスベスト”になるだろう。これは明白かつ差し迫った公衆衛生上の緊急事態だ」
彼がどういう根拠のもとにこのような主張をしているのか、研究を見てみよう。

「確かに、LED電球にはすばらしい功績がある。LEDの登場以前は、照明が世界の電力消費量の20%を占めていたが、現在では8%にまで低下している。さらに、LEDは白熱灯よりもはるかに長持ちする。LED電球が、人工光を生み出すための必要エネルギーを最大90%削減したことは事実だ。青色LEDの発明が、ノーベル賞に値することは当然だと考える。この発明により、明るく省エネの白色光が可能になったのだから。
しかしこの輝かしい発明には、暗い側面があることを指摘したい。
LEDが発する光は、従来の人工光が発する光とは質的にまったく異なるものである。

LEDは短波長の青色光を発しており(420~450 nm)、従来の人工光源が発する赤色光や赤外線をまったく含んでいない。
当初、私は赤色光や赤外線には意味がないと考えていた。それは「見えない」からだ。しかし2010年私の同僚が、視覚系に損傷を与えた動物モデルが赤色光により回復することを発見した。
赤色光にさらされることで、神経細胞の損傷が軽減する。赤色光は無意味ではない。そこには確かに何かが起こっている。
そこで私は、赤色光とミトコンドリアの関係を調べることにした。そこで分かったのは、赤色光から近赤外光にはミトコンドリアに好ましい効果があり、逆に濃い青色の短波長はミトコンドリア機能を損傷することだった。
次に、人間を対象とした実験を行った。
網膜には、体の中で最も多くのミトコンドリアが存在する。高齢者に赤色光を照射したところ、波長670 nmの赤色光を3分間照射するだけで、視力が改善した。また、色覚にも著明な改善が見られた。
これは進化的にも理にかなっている。地球上の生命は、太陽光に同調したアンテナのようなもので、太陽光を最大限活用するように進化した。これは考えてみれば当たり前のことだが、LEDが普及したとき、誰もこの点を考慮していなかった。
太陽光が意味を持つのは、植物にとっての光合成だけと思われるかもしれないが、それは違う。太陽光は動物がエネルギー源とする糖の代謝をサポートしている。太陽光なくして生存できないのは、植物も動物も同じなのだ。私はこれを『光代謝』と呼んでいる。これは40億年にわたる進化の歴史に根差したものだ。LEDが導入されて10年経って初めて、私はこの問題を認識するようになった。
たとえば、ショウジョウバエに青色LEDを1日15分間照射する。それを1週間続けるだけで、ミトコンドリア活性が著しく低下し、膜透過性が増加した。3時間の単回照射でもATPレベルの低下と運動性の低下が確認できた。
動物モデルを使った実験も行った。LED環境下で数日、数週間、数か月という時間スケールで飼育すると、体重増加、耐糖能低下、各臓器(心臓、肝臓、腎臓、精巣)の重量低下、肝細胞変性、精巣構造の異常など、ミトコンドリア機能の低下に起因する様々な症状が出現した。
なぜこのような症状が生じるのか。
ひとつには、青色光がポルフィリンに強く吸収され、それが炎症反応を引き起こす可能性を考えている。
また、LED照明の健康リスクは、青色光の存在のみならず、赤色光の欠如も影響しているだろう。
LEDの普及が世界的な潮流であり、それを止めることができないのであれば、生活に赤色光を加えることで、リスクを低減できるかもしれない。

LED照明に広帯域照明を併用すると、LEDによる悪影響が緩和された。それのみならず、ある指標においては、有意な改善が見られた。
私としては、LED照明の部屋には、白熱電球やハロゲン電球を導入することを提案したい。
もちろん、問題はあるだろう。白熱電球はすでに消費者市場から姿を消した。エネルギー効率の高いLEDに移行したことで、ハロゲン電球も廃止された。しかし依然として容易に入手可能なのは、日光である。これによりLEDに欠けた長波長の光を補給することが可能になる。
現在、世界中で多くの人々が、オフィス、学校、病院を含め、一日の大半を人工光の下で過ごしている。
私の研究は、LED照明が主流となった環境が深刻な健康リスクをもたらすことを示している。これは、公衆衛生上の緊急事態だと言える。
LEDがミトコンドリアに損傷を与えており、従って全身の健康を損なっていることは疑いようがない。我々は今すぐ行動を起こすべきだ」
衝撃的な主張です。日々、当たり前に使われている電灯が、我々の健康を削っている。ここ10年の慢性疾患の増加には、案外LEDも関わっているのかもしれない。
しかし絶望的なことに、「せめて家の電球だけはLEDをやめて蛍光灯にしよう」と思っても、経産省は蛍光灯の製造を中止するのみならず、輸出入をも停止するというのだから、海外から買うこともできなくなる。
今のうちに買いだめしとこうかな。。