
今日お伝えしたいことは、ホメオパシーは純然たる科学だということです。
今日ここにお集まりの方々は、ホメオパスとして、実際に患者さんにレメディを処方する人も多いでしょう。当然、ホメオパシーの有効性を認識しておられる。レメディは、確かに効く。
しかしなぜ効くのかと聞かれれば、どうしても、「波動」とか「エネルギー」という説明にならざるを得ない。治療家とクライエントという閉じた関係性のなかでは、この説明で問題ない。しかし、外の客観的な科学者からこれを見れば、「うさんくさい」とか「非科学的」という評価になる。
僕は臨床医で、臨床の世界は「結果がすべて」です。うさんくさかろうが非科学的であろうが、臨床は「治したもんが勝ち」なので、波動であれ何であれ、究極、そこはどうでもいいと思っている。
しかし、これはちょっと、もったいない。だって、ホメオパシーは科学だからです。ホメオパシーが効くのには、明確な科学的理由があります。だから、外野から「非科学的」だ何だと批判されていることが、もどかしくて仕方ない。僕としては「それは違う」と反論したい。今日はそういうお話をします。
僕自身はホメオパシーを使ったことがない。自分でレメディを飲んだこともないし、患者に勧めたこともない。ただ、現場で働いていると、患者から「ホメオパシーが効いた」という話を頻繁に耳にする。たとえば、


僕が勧めるサプリよりも何よりも、「ホメオパシーが一番効いた」と言われるものだから、僕も苦笑いするしかない。こういう患者を複数見ているので、「ホメオパシーには一般の科学では説明できない何かがあるのだろう」ということは薄々思っていました。
改めて考えてみましょう。なぜホメオパシーは効くのでしょうか。

最初の溶液(元物質)1に対して、溶媒(水とかアルコール)99で希釈し、振盪(サカッション)する。この操作を1回として、その溶液からさらに1取り出して、また99で希釈、振盪する。こういう操作を6回繰り返せば、10の-12乗、30回も繰り返せば、10の-60乗となり、アボガドロ限界を超える希釈となる。もはや元物質は残っていない。元物質が残っていないのだから、「物質が受容体に作用して生理作用が生じる」という説明はできない。
しかしこんな極低濃度の溶液が効くというのだから、当然プラセボということになる。

しかし仮にプラセボ効果だとしても、それだけでは説明できない。オッズ比2.45というのは、「プラセボにしては効き過ぎている」。プラセボ以外の何かがあるはずだ、ということになる。
しかし、科学者は反発します。

ホメオパシーを受けたことがある人なら分かると思いますが、ホメオパシーというのは、ひとつの治療儀式とも言えます。ホメオパスは、患者から単に症状を聞くだけではない。その人の食事、睡眠はもちろん、生活習慣全般、性格まで詳しく問診する。そのうえで、ホメオパスは患者に適合すると思われるレメディを処方する。
これは、単にプラセボを処方するのとは意味が違います。患者は「ああ、私のことを理解してもらった」という深い納得とともに、レメディを飲みます。つまり、単なるプラセボ効果ではなくて、治療文脈効果(contextual effects)が働きます。
自分の悩み全体を聞いてもらったことで、不安が軽減し、交感神経の緊張がほぐれる。多くの疾患は自律神経の乱れに起因しているのだから、レメディが何であれ、治療文脈効果が働き始めた時点で、症状は改善に向かっている。レメディそのものは、単なる砂糖玉、あるいは単なる水であり、治療とは無関係なのです。
あるいは、

症状がまったくない状態をゼロ、症状がマックスやばい状態を10として、みなさん、たとえば8ぐらい、しんどくなってくると、「そろそろ病院に行かなきゃ」となる。それで一般の病院に行くのは嫌だから、ホメオパシーを受診する。すると、症状が次第に改善していくわけだけど、これはそもそも、症状の経過自体が「そういうもの」なのです。
特に慢性疾患というのは、症状が変動するものです。「今日はリウマチの関節痛、なぜかひどいな」というときもあれば、特に何もしなくても数日で痛みがマシになってきたり、あるいは、何もしなくても痛みがひどい日があったり。症状が改善にさしかかる手前のところで、「たまたまホメオパシーをやった」という、ただそれだけのことで、「ホメオパシーが効いた」と解釈する。症状の自然経過を、そういうふうに誤解しているだけのことです。
人間が思い込みや暗示の影響を受けやすいという批判は、その通りでしょう。じゃ、動物にホメオパシーが効くことはどう説明するのか。動物には「思い込み」も「暗示」もないはずです。

すると、科学者はこう反論します。

動物にホメオパシーをやったところで、その効果を評価するのは誰か?
飼い主なり獣医なりが評価する。つまり、人間が評価する。人間が評価するとなれば、そこには当然「期待」が入る。「こういう治療介入をしているのだから、こういう改善があるはずだ」という期待を込めて、結果を評価する。これを介護者プラセボ効果といいます。だから、「動物にホメオパシーが効いた」という論文は意味がない。
そういうのなら、もっとエビデンスレベルの高い研究を出しましょう。

論文の論文、系統的レビューでも「動物へのホメオパシーは有効」という結果が出ている。特に、子豚の下痢予防としてホメオパシーを使った研究では、オッズ比が3.89という極めて高い有効性が出た。これを「介護者プラセボ効果」のひとことで切って捨てるのは、それこそ科学的な態度ではないでしょう。
哺乳類ではなく、もっと原始的な生物、たとえばオタマジャクシを使った研究がある。

甲状腺ホルモン(チロキシン=T4)は、代謝活性化ホルモンであり、成長を促進する作用がある。オタマジャクシに投与すれば、カエルに変態するまでの期間が短縮します。しかし、このT4を極低濃度、たとえば10の-30乗という、極めて薄い濃度で投与するとどうなるか。「そんな低濃度では、もはやホルモンではなく、ただの水だ。だから、何の効果もない」と思われるところ、実際やってみると、成長を遅延させる作用があった。オタマジャクシの変態が通常よりも遅く、カエルになるのを遅らせる作用があったということです。
さらに、この極超低濃度T4を電子レンジや携帯電話の電磁界に曝露させると、その成長遅延作用が消失した。ただの水になった、ということです。
これは1990年の研究で、界隈に衝撃を与えました。
多くの科学者は否定的にとらえた。「そんなの起こるはずがない」と。

しかし科学の世界がすばらしいのは、検証が可能ということです。疑わしいなら、自分で実験して確かめてみればいい。
それで、複数の大学(Graz大学、Utrecht大学、Vienna大学)で追試が行われたところ、同じ結果が出た。
そこで科学者たちは、現象として認めざるを得なかった。「極超低濃度のT4には成長遅延作用がある」と。

科学者を当惑させたのは、2点あります。
まず、ひとつは、10の-30乗という、天文学的に薄い濃度が生理作用を示したこと。
もうひとつは、甲状腺ホルモンという、本来代謝を活性化させ成長を促進させるホルモンが、極超低濃度では、その逆の作用、成長遅延作用を示したこと。
個人的には、これはいかにもホメオパシーぽいなという印象を持ちます。極微の世界では、作用が反転する。想定される作用Xの逆の作用、-Xが出る。このあたりにホメオパシーの本質を感じます。
植物にホメオパシーに使ったところ、これまた奇妙な結果が出ました。

小麦に三酸化ヒ素(As2O3)を極超低濃度(10の-45乗)で投与した研究。当然、一般には「肥料であれ農薬であれ、そんな低濃度では何の作用もない。ただの水」ということになるだろうけど、実際のところ、茎の成長が有意に増加(+24%)した。これを受けて、別の研究者が同様の実験をしたところ、奇妙なことに、逆の結果が出た。むしろ茎の成長が低下(-3%)した。
これは、どちらの結果であれ、世の科学者の神経をさかなでする結果です。10の-45乗というのは、低濃度すぎて、物質として作用性をもつはずがない。しかも、イタリアの研究では「成長が増加」、スイスの研究では「成長が遅延」と、両者で割れている。
なぜ結果が割れたのか。実験の地理的状況、実験者の影響、ヒ素に対する種子の感受性など、可能性が検討されたけど、「分からない」というのが研究者の結論です。
別の研究。

ヒスタミンといえば、みなさん、アレルギー物質というイメージでしょう。好塩基球がヒスタミンに曝露すると、活性化することは以前から知られていました。しかし上記の研究は、極超低濃度(10の-30乗~10の-38乗)のヒスタミンであれば、好塩基球はむしろ活性が抑制されたという研究です。
これは、一般の医学者には受け入れがたい結果です。10の-30乗なんて、そんな極うすい濃度で細胞が反応するはずがない、というのが「常識」だからです。しかし、どんな精密な測定をしても、この結果が出る。細胞染色、フローサイトメトリー、CD63の発現量、あらゆる指標を使って、しかも複数の研究機関で調べても、同じ結果が出た。理屈はともかく、現象としては認めざるを得ない。ヒスタミンは極超低濃度では、好塩基球の活性を抑制するのだと。
結果を真摯に受け止める、というのが科学者のあるべき態度です。「なぜかは分からないが、少なくとも現象として、確かに作用する」。
これをいったん認めれば、次なる考察は、なぜ効くのか、です。

衝撃的な研究があります。ホメオパシーのレメディのなかには、市販されているものがありますね。アマゾンとかで検索すれば、誰でも買えます。
ある研究者が市販のレメディを分析したところ、なんと、元物質が検出されたことを報告しました。

たとえば、10の-400乗という極超低濃度は、アボガドロ限界を優に超えています。理論的には、元物質は存在していないはずです。しかし現代の最新分析機器(透過型電子顕微鏡、電子回折、誘導型プラズマ発光分光法)によりレメディを分析すると、元物質が検出された。たとえば、Aurum metallicumというレメディからは金が検出され、Cuprum metallicumからは銅が、Zincum metallicumからは亜鉛が検出された。
これは衝撃的な報告なんですが、その意味が分かりますか?
これまで、ホメオパシーは「ニセ医学」だ「デタラメ」だと散々批判されてきた。それは、「あんなに薄く希釈されては、元の物質が含まれていない。だから効果もへったくれもない。ただの砂糖玉、ただの水じゃないか」ということで、ボロクソに言われてきた。しかし、上記の研究によれば、元物質が存在しているというのです。
元物質が存在しているとなれば、これは科学です。極超低濃度の元物質がどのような形態で存在し、どのように作用するか。それを調べられます。つまり、ホメオパシーが科学の俎上に乗ったということです。エネルギーとか波動とか、そういう言葉を使えば、科学者は顔をしかめます。しかしそういう言葉を使うことなく、ホメオパシーの作用機序が説明できる可能性が開けたということです。

伝統的なホメオパシーでは、ガラス瓶を激しく振る振盪(サカッション)という操作をします。
しかし最近の研究で、ガラス瓶でサカッションすることで、溶液にガラス由来のケイ素が含まれていることが分かりました。

理科の実験器具などで使われるガラスは、ホウケイ酸ガラスで、ケイ素だけではなく、ホウ素、ナトリウムなどを含んでいます。サカッションのプロセスで、これらが極微量、溶液に溶け出します。つまり、

元物質Aの表面にケイ素が付着して、酸化ケイ素の表面構造が作られます。この構造は希釈されても失われず、次の段階へ受け継がれます。
ところで、ちょっと話が変わるようですけど、みなさんはMRIを受けたことがありますか。

MRIというのは、体内の水分子のふるまいを分析する機械です。MRIに入って、磁場をかけると、水素の原子核(プロトン)が整列する。そこに横からパルス波を与えると、プロトンが倒れる。時間経過とともに、倒れたプロトンが起き上がるのだけど、縦方向の戻り具合を見るのがT1で、横方向の戻り具合を見るのがT2、というふうに医学部で習うのだけど、ここでは専門的なことは要らないです。ただ、ホメオパシーのレメディをMRIで分析すると、水と比べて、T1が増加、T2が減少していることが分かった。

つまり、レメディは単なる水ではない。明らかに、何らかの分子構造が存在する。
レメディの構造に水素結合が関係しているとして、希釈により、この水素結合はどのように変化するのか。それを調べたのが以下の研究です。

希釈すればするほど、強い水素結合が減少し、弱い水素結合が増加した。

この水素結合の変化が、レメディの電気的性質に影響していると考えられます。
ところで、金属はナノレベルになると、性質が変化することをご存知か。

たとえば、金は磁石につかない。当たり前ですね。金が磁石につくなら、砂金探しはずいぶん楽になるでしょう。しかし金は、ナノレベルになると磁性を持ちます。しかも、ナノ化した金は、金色ではなく、赤~紫のような色になる。さらに、融点も低下する。一般に金の融点は1064℃ですが、20 nmでは800℃、5 nmでは600℃、1 nmでは300℃前後と、どんどん低下する。
他の金属についても、バルクの状態とナノの状態で、物性が変化します。
僕はこのあたりにも、いかにもホメオパシー的なものを感じます。金属を極超低濃度にしたレメディは多いですが、金属ナノ粒子は元の金属とはずいぶん違う性質を帯びているはずです。
これまで述べてきたことを、集大成したような研究があります。

アブストラクトを流し読みするだけでは、この研究の真価が伝わりにくいかもしれない。「ふーん」とスルーされてしまいそうです。
これは、ホメオパシーがなぜ効くのか、超低希釈された溶液がどのように作用性を持つのかを調べた研究で、ホメオパシー医療に理論的な根拠を与えるものです。しかしそれと同時に、もっと大きな意味合いとしては、今後進展していくであろうナノ工学への道しるべにもなっています。

すでに医学分野では、ナノ粒子が、バイオセンサー、癌細胞の検出、薬剤の標的送達に使われています。
ホメオパシーは、ナノ工学そのものだと言えます。
ホメオパシーをバカにする科学者は、「自分はナノ工学を理解できません」、「自分はバカです」と言っているようなものです。今度そういう人を見たら、笑ってあげてください(笑)

まず、実際にレメディ(Aurum metallicum)を作ります。金粉5gに乳糖45gを混ぜて、乳鉢、乳棒で長時間トリチュレート(磨砕)するという具合に、ホメオパシーの伝統的な作法でレメディを作る。

これをX線回折して分かったのは、すでにトリチュレーションの段階で金粒子がナノ化しているということです。

溶液を段階的に希釈していく際、溶液の上のほうから抽出するか、下のほうから抽出するかで、性質が全然違います。紫外線可視光(UV-Vis)吸収分光測定で、その違いがよく分かります。また、希釈が進むほど、金ナノ粒子サイズのばらつきが小さく、均一化します。

サカッション(振盪)するほど、UV-Visの吸収が高まる。これは、振盪に伴い、乳糖の層が崩壊し、炭化水素-ケイ酸塩基団が増加するためです。また、振盪により乳糖層が崩壊することで、金ナノ粒子の表面が露出し、これにより金ナノ粒子の反応性が高まります。

希釈度が高まるにつれ、金ナノ粒子のサイズが小さく、均一化し、サイズの減少により、金ナノ粒子の表面露出が増え、反応性が高まる。この反応性エッヂ(reactive edge)の存在こそ、効能を左右するキモです。「振れば振るほど効く」のはこのためです。

ポテンシーが低い状態では、金ナノ粒子は乳糖層に埋もれているけど、高ポテンシーだと、金ナノ粒子は乳糖層に薄い層で覆われるように存在していることが、電子顕微鏡で確認できました。

レーザービームにより分子を励起すると、チンダル現象が起こります。これを観察することで、振盪するほど、気泡-粒子の混合物が形成されることが分かりました。
まとめると、以下のような結論になります。

このように、ホメオパシーはデタラメでも非科学でもなく、暗示でも気休めでもありません。ホメオパシーが効くことには、明確な科学的理由があり、実際効きます。
しかし僕自身は、自分の臨床にホメオパシーを積極的に取り入れることはないと思います。それは、漢方とかアーユルヴェーダを積極的に取り入れないのと同じ理由です。効くことは分かっている。でも、それ自身が体系として完成されているので、「ちょっとつまみ食い」みたいに取り入れるには、あまりにもハードルが高いと感じるからです。やるからには、しっかり勉強して、「ホメオパシーに全振り」ぐらいの覚悟でやるべきだと思うので。
ただ、代替医療を実践する身として、ホメオパシーが「非科学的」だとバカにされていることが、隣人をバカにされているようで、許せなかった。
今日の講演オファーを受けたのは、そういう個人的な感情によります。