
オルターのカタログで拙著を大きく取り上げていただきました。
情報のアンテナが高い人は、現代日本の食がいかに脅かされているか、とっくにご承知のことと思います。
諸外国で禁止された農薬や添加物が日本では野放しであったり、安全性の確認が不十分な遺伝子組み換え食品が流通していたり、放射能汚染の問題であったり、食糧自給率の問題、種の問題など、問題を数え上げればきりがない。問題を認識すればするほど、「何も食べれないじゃないか」とうんざりする。
そこで、オルターの出番です。
まず、カタログを見てもらえばいい。自然栽培、有機栽培の食材が多いことがすぐに分かる。もちろん、すべてが自然栽培というわけではないし、無農薬だとは言わない。しかし、「除草剤1回使用」とか、よからぬものを使っているときには、ちゃんとその旨書いている。少なくとも、だまし討ちがない。西川代表が直々に生産現場に向かい、農家とコミュニケーションをとったうえで、安全性を確認したものをカタログに載せている。こんなに真正面から消費者と向かい合ったコミュニティは他にないだろう。
西川代表と話して、僕はオルターの理念に心底共感しました。オルターの顧問医師を打診されて、一もにもなく引き受けました。消費者の健康を第一に考える組織の顧問医師だなんて、僕にとってこの上なく名誉なことです。

西川さんの人生は、そこらへんのドラマよりもドラマチックです。学生運動が最も激しい60年代、物怖じしない姿勢と堂々たる弁論、そして圧倒的なカリスマ性で、西川さんに共鳴する『西川一派』は3千人にも達した。大学解体、入試粉砕を叫ぶ過激派に対して、西川さんは「つまらない」と一蹴し、大学の入試を守った。
大学卒業後は、数々の市民運動を組織して、公害問題や原発問題、食の安全の問題に取り組んだ。能登原発が停止した背景には西川さんの尽力があった。原発を止めるなんて、奇跡のようにすごいことだ。もっと世間に広く知られていい人なのに、実績と知名度が見合っていないよね。
経歴からして文系の人かと思ったけど、意外にも理工学部出身で、製薬会社に勤務していたこともある。西川さんの行くところ、どこにでも「嵐」が巻き起こる。製薬会社時代のエピソードをひとつ、紹介しよう。
「某大手製薬会社に勤めて分かったことは、偽装してない薬はほぼないということです。僕がいたのは50年以上前のことだけど、今でも本質は変わってないだろうな。薬効を実験動物で再評価して、本当に効いたのは、一部の抗生剤とステロイドしかなかった。他は効かないか、あるいは純然たる毒。
実験動物で目立った毒性がなければ、ヒトで臨床治験をするんだけど、その評価は驚くほどテキトーで、被験者の「ちょっといいかも」ぐらいな体感を勝手に解釈して『有効』とか記録する。
厚生省に提出する書類もずさんなもので、彼らが何を評価するかといって、一番見ているのは「提出書類の厚み」。嘘みたいだけど本当の話だよ。急性毒性とか亜急性毒性、慢性毒性とか、提出義務のあるレポートは出すんだけど、それをきちんと読める専門家は、そもそも厚生省にいない。だから、彼ら、書類の分厚さだけを見ている。笑っちゃうよね。
ある日、コンピューターのそばで鉛筆を転がしている研究員がいた。「何してるんですか」と聞くと、「乱数を作っている」と。彼が、製薬会社の実態を詳しく教えてくれた。
薬を作るとして、ゼロから新たに作ることなんてほとんどなくて、大半の薬は既存の先発品を改良して「より良い薬」を作る。でもね、すでに臨床現場で使われている先発品を追試しても、効くとされる薬効が再現されることはまずない。つまり、そもそも効果のない薬が堂々と使われているということです。
でも、後発品を作るには、「先発品の有効性を確認しました」というデータを再現しないといけない。先発品の評価を定めて、そのうえで初めて、「うちの作った後発品は先発品よりも効果があります」とか「副作用が少ない」とか、優位性を主張して売り出すわけだから。
その研究員は、そのために鉛筆を転がして乱数を作って、データ捏造の真っ最中だったというわけだ。統計処理を疑われないためにね。
某国の作った抗炎症剤がある。これのメチル基を1個動かしただけのゾロ(後発医薬品)を我が社で作ろうということになった。しかし先発品をマウスに投与したら、なんと、マウスが全部死んでしまった。投与量を少なくしても、癌が発生した。先発品が偽装しているのだから、本来、後発品のデータのでっちあげどころの話じゃない。でも後発品を作れというのが会社の指示だから、研究員としてはデータの捏造をせざるを得ない。
僕はそもそも、抗炎症剤はみんな毒物だと思っている。炎症というのは、生きる力なんです。これを無理やり抑えるんだから、異常が起こるのは当然で、最悪死に至る。
で、こんなふうに捏造データを記載したレポートで、厚生省の薬事審査をパスしてしまった。さっきも言ったように、本当、ザルなんだよ。お役所の審査なんて。このままでは、リウマチなどの関節炎の薬として使われてしまう。
僕はこれが許せなかった。会社としては、マウスで発癌性を確認している。リウマチ薬は長期連用されるのが普通だから、患者の癌リスクが高まることになる。知った以上は放っておけない。自分が「医療に貢献する」どころか、「死の商人」になることが耐えられなかった。
理解のある社員が数人いて、彼らとこの薬を止めることを密かに画策した。「社長に直訴してみてはどうか」なんていう人がいたけど、僕は反対した。社長も含め上層部は当然「分かっている」だろう。分かったうえでやっているのだから、説得を試みても意味がない。
僕はまず、労働組合を組織した。論文、日報、会議事録、プレパラートに至るまでデータ捏造の証拠を徹底的に集めて、「自社でこんな茶番が行われている」ことを個々の社員に伝え、労働組合への参加を誘った。結果、98人が加入してくれた。
次に、メディアへ発表する準備を整えた。そして、訴訟を想定して弁護士団を組織した。
僕の動きを見て、「そこまで事を荒立てるのは、ちょっと、、」と躊躇する人もいたけど、いや、ここまでしなきゃいけないんです。データ捏造という、製薬業界全体をひっくり返すような大事件なんだ。組織的に行われている詐欺に対して、個人で戦うことはできない。こちらとしては、もっと巨大な組織を作って戦わないといけない。
このデータ捏造は、大手メディア、新聞、テレビ、ラジオで大きく報道されて、日本中が大騒ぎになった。焦った厚生省はすぐさま認可を取り消した。
これが僕の製薬会社時代の経験です」
西川さん、本当は、もっと「えげつない」話を僕にしゃべってくれました。それは、メディアに曝露されれば某製薬会社が潰れるような話です。そんな爆弾ネタを3個ほど持ったまま、爆発させることなく、西川さんは某製薬会社を退職しました。
学生運動の中核的リーダーになったり、原発を止めたりできるのは、こういう人なんだなと思いました。
人間としてのモノが違う。かなわない。圧倒的にスケールの違う人間を前にして、僕が感じたのは、ただただ、強烈な魅力でした。
こういう、真に人のため、社会のためを思う人が組織しているのが、オルターです。
「食べるものがなくて困る」という人には、単純にひとこと、こうアドバイスします。オルターで買いなさい。