
尿酸が高いことは、よからぬことだとされている。
どの検索エンジンでもいいから、「尿酸」と調べてみるといい。


尿酸高値は痛風の原因であり、痛風がどれほどの激痛であるか、いかに尿酸が体に悪いか、そんな情報しか出てこない。
しかし実際のところ、尿酸ほど体にいいものはない。

なんといっても、血漿中の抗酸化物質の半分は尿酸のおかげです。
これは、進化のプロセスを考えてみればよく分かります。

尿酸(uric acid)はプリン体(purine)から作られます。プリン体という名称は、「純粋な尿酸(pure uric acid)」の頭文字から命名されました。
プリン体の最終生成物として、尿酸ができます。しかしこれは、ヒトや一部の霊長類だけで、その他多くの哺乳類では、尿酸からアラントインが生成されるし、

魚類では、アラントインをさらに代謝して、尿素まで分解します。
霊長類について、

ヒト(ホモ・サピエンス)はサルから進化したということになっています(ほんまか嘘か知らんけど)。仮にこれが事実だとして、6300万年前に霊長類の進化上、大きな変化が起こりました。6300万年前に、曲鼻猿亜目と真鼻猿亜目に分かれたのです。ここが天下分け目の関ヶ原でした。
真鼻猿亜目は、体内でビタミンCの合成能を失い、かつ同時に、尿酸分解酵素(尿酸オキシダーゼ; UO)を失いました。つまり、ビタミンCの代わりに尿酸を抗酸化物質として活用する方向に進化しました。

なぜビタミンCの合成能を失ったのか。「森林地帯に住んでいたため、ビタミンCを豊富に含む果樹があり、ビタミンCを自前で合成する必要がなくなったから」という説がありますが、これが本当かどうか知りません。
とにかく、人類は尿酸を活性酸素に対する抗酸化剤として利用することで、寿命が大幅の伸び、癌リスクを低減させることに成功しました。
その代わりというか、高すぎる尿酸値は確かに痛風の悲劇を引き起こします。それは、「尿酸」で検索したときに上位で出てくるサイトのご指摘のとおりです。しかし、かといって、「高い尿酸はすぐさま下げろ!」と尿酸を目の敵にするのは間違いです。
たとえば、尿酸は抗酸化剤であると同時に、知性の源でもあります。大学教授など知的職業に従事する人では尿酸値が高い傾向があるという研究もあれば、医学部の学生と非医学部の学生を対象とした研究で、医学部学生の尿酸値は非医学部学生の尿酸値よりも高く、また前者のほうが後者よりもIQが高かった。要するに、知能の高い人では尿酸値が高いということが分かっています。

なぜ尿酸とIQに正の相関があるのか?一応の仮説として、たとえば、カフェイン(コーヒーの成分)やテオブロミン(カカオの成分)の脳刺激作用は有名です。コーヒーの香りをかぐだけで集中力が高まったり、チョコレートを食べて作業すると記憶力が高まったという研究はたくさんありますが、尿酸の構造式を見ると、カフェインやテオブロミンによく似ている。

カフェインやテオブロミンが脳を刺激して集中力や記憶力を高めるように、尿酸にも同様の作用がある。だから、せっかく知能を高めてくれる尿酸を、あまりそう敵視しないでください。
尿酸は確かに、痛風という病気の原因ではありますが、一方で逆に、尿酸はある種の神経疾患から守ってくれます。たとえば、パーキンソン病。

血中尿酸値とPD(パーキンソン病)の発症頻度を調べると、尿酸値が高い人は低い人に比べてPDにかかりにくかった。
イノシン酸(カツオのお出し)の投与で尿酸値が上がります。

さらに、尿酸値が高いほど、AD(アルツハイマー型認知症)になりにくいという研究もあるし、痛風を患っている人がADになるような事例はほとんどない。
もっと言うと、尿酸が高い人というのは、頭がいいだけではなくて、体もタフです。実際、筋脂肪量は尿酸値と相関しています。

筋肉の付きやすい人というのは脂肪の付きやすい人です。つまり、こういう人の体格は牡牛のようにがっしりしていて、こういう人ほど尿酸が高いわけです。
そして、こういう人は年をとっても寝たきりになりにくいことが分かっている。

こんなふうに尿酸の高いことのメリットを列挙されても、今現在、痛風に悩んでいる人もいるかと思います。
「尿酸値が高いほどIQが高いなんてうれしいことを言ってくれるじゃないか。しかしこの痛風の激痛だけはどうにも我慢ならない。なんとかならないか?」
こういう人は、ビタミンCを飲むといいよ。

これは、進化のプロセスを考えれば、ある意味当然です。ビタミンCの合成能を犠牲にして、尿酸を代わりに抗酸化物質として使うことで、癌や神経疾患になりにくくなるメリットを獲得した。しかし、尿酸の過剰が不都合を起こしている。そうなれば、抗酸化剤として尿酸に頼りすぎるのをやめて、原点回帰、ビタミンCにもう一度戻ろうということです。血中ビタミンCが上がると、尿酸の必要性が相対的に減少して、実際尿酸値が下がります。
あるいは、タウリンを使うのもいいですね。

血圧でもコレステロールでもそうですが、なぜ高いのか、その原因を無視して、とにかく「薬を飲め」とバカの一つ覚えのように薬を処方する。僕はそういう医療をしたくないと思っています。本当は、血圧が高いことにもコレステロールが高いことにも、意味があったり恩恵があったりするはず。尿酸値も同様です。投薬で無理やり下げることには共感しません。痛風の痛みには同情しますが。
逆の事例をお見せしましょう。尿酸値が高いことから来る悲劇を痛風だとすると、尿酸値が低いことからくる悲劇はどのようなものか。

筋萎縮性側索硬化症という難病があります。全身の筋肉が次第に衰えて行き、歩くことも立つこともできなくなり、咀嚼もできなくなり、しゃべることもできなくなり、最終的には眼球の筋肉だけが動くので、文字盤を視線で追うことでしか意思を伝えられなくなる。あるいは、呼吸筋も麻痺して、最終的にはお亡くなりになる。大変気の毒な病気です。

当院に来られたALS患者の採血を見たとき、尿酸値の低さに驚きました。わずか、0.5 mg/dlしかなかったからです。正常値はだいたい3.5~7なので、0.5というのは信じられないほどの低値です。
実際、尿酸値はALSの生存期間の予測因子でもあります。

ALSと診断されたとき、まず尿酸値を見る。高めなら「比較的長く生きられるよ」と分かるし、低めなら「残念ながら。。」ということになる。
治療をどうするか。
まずは原因を知りたい。「ALSの原因は不明」ということになっているけど、何らかの現代毒が原因であることは確かだろう。たとえば、

コロナワクチン接種後にALSを発症する事例があるように、何らかの毒物(医薬品、添加物、農薬など)の曝露を疑うけれども、原因特定は難しい。
となれば、対症療法的に、尿酸値を上げることを考える。
尿酸値が上がる食材、つまり「痛風の人は食べちゃダメなもの」をあえて食べる。プリン体を豊富に含む白子、魚卵、レバー、干物を食べる。さらに、果糖もいい。サプリとして、ナイアシンは尿酸を軽度に上げる効果がある。
あと、もうひとつ、モリブデン。キサンチンオキシダーゼという尿酸を合成する酵素があって、その活性中心にモリブデンがある。モリブデン不足ではこの尿酸合成酵素を作れないので、不足しないようにする(ただし過剰もよくない)。
あと、ビタミンCのとりすぎは避ける。
コレステロールは、高い人ほど、癌になりにくいしアルツハイマーになりにくいのですが、尿酸にも同じことが言えます。
つまり、「それが高いことが本来健康の証であるはずの数字を敵視して、無理やり下げようとする」それが現代医学です。
無理やりコレステロールを下げたって尿酸を下げたって、健康にはなりません。むしろ、健康から遠ざかります。