イタドリの効用

初夏の頃、僕にしては珍しく、高熱が出てダウンしてしまった。右足首の虫刺されのような傷があり、その傷を中心に腫れて、熱感がある。「ツツガムシ病」と自己診断した。ゲルマニウムを5錠飲み、布団にくるまって眠った。大量の寝汗をかいて、翌朝には解熱していた。
これについては、以前の記事で書いたことがある。
https://note.com/nakamuraclinic/n/n5b6e460a951e
しかし、この話には続きがある。
2週間後、再び高熱が出た。回帰熱だと考えた。ダニにかまれて、そこから細菌が体内に侵入した。解熱しても、またしばらくして発熱する。アメリカではライム病が有名で、なかには十年以上も症状に苦しむ人がいる。

画像

こんなとき、教科書的には抗生剤の投与が勧められるところだが、個人的にはイタドリを推したい。これにはエビデンスがある。

画像

ライム病はかかると厄介な病気で、仮に標準治療で抗生剤投与を受けても、少なくとも20%の患者では症状(疲労感、関節痛、頭痛、動悸、記憶障害など)が遷延化する。
そこで、世間で「効く」と言われているハーブの類がライム病に効くかどうか、実験してみた。
14種類の植物由来抽出物のBorrelia burgdorfreiに対する殺菌効果を、抗生剤(ドキシサイクリン、セフロキシム)と比較してみたところ、黒クルミ、キャッツクロー、スイートワームウッド、シスタス、スカルキャップの抽出物が、強い活性を示した。その抗菌活性は、2つの抗生剤よりも優れていました。

画像

しかし、この5種類のハーブはまだ序の口です。圧倒的に優れた効果を示したのは、キニーネとイタドリでした。
キニーネは、西アフリカ原産の低木で、大昔から原住民に使用されてきました。マラリアの特効薬として有名ですが、肝炎、結核、敗血症にも使われてきました。
イタドリは、英語でJapanese knotweedと言われているぐらいですから、日本のあちこちに自生していて、多分みなさん見かけたことがあるはずです。雑草として厄介者扱いされていますが、「知は力なり」で、知識のある人にとっては薬草です。
ポリフェノール(レスベラトロール)を高濃度に含み、ある研究によると、抗癌作用、抗炎症作用、心臓保護作用が認められています。
両植物の抽出物は、ごく微量(0.03~0.5%)でも細菌のコロニーを死滅させ、微生物の分裂を阻害しました。
1%のキニーネを7日間単回投与するだけで、細菌は完全に根絶されました。薬剤不在下でも、一度根絶されれば、最適な条件下に戻しても細菌は再増殖しなかった。
これは何を意味するか?
研究者「たとえばライム病は体内で休眠型になり、こうなると抗生剤はまったくの無効になりますが、今回の研究で検証したハーブは、休眠型の細菌に対しても強力な活性を持ちました。これを証明したエビデンスは初めてのことです」
逆に、今回の研究で効果がなかったハーブ、生薬として、グレープフルーツシード、アンドログラフィス、アシュワガンダ、ステビア、ベニバナ、オニナベナの抽出物はほぼ無効だった。コロイド銀、モノグリセリドモノラウリン、抗菌ペプチドLL37も同様に無効だった。

なぜイタドリが効くのか。
核心はポリフェノールにある。イタドリには、レスベラトロール、ケルセチン、カテキン、エモジン、ポリジンなど、様々な抗炎症物質が含まれている。レスベラトロールといえば、ブドウの皮が有名だけど、イタドリのほうが遥かに含有量が多い。抗炎症作用、抗酸化作用のみならず、抗老化作用、抗癌作用まであるというのだから、毎日イタドリ茶を飲めば、日々病気知らずで過ごせるだろう。
だから僕は、2度目の発熱に際して、すぐにイタドリを取り寄せ、お茶として飲んだところ、熱はすみやかに下がった。その後、数か月経つ現在、高熱の再発はない。イタドリの各種成分が、僕の体内の細菌類をしっかり駆逐してくれたということだろう。

画像

イタドリについて、こんな話がある。以下、中村臣市郎氏の記述である。
イタドリ1本の革命
50年間全身性のリウマチで、骨の変形と腫れのため、激痛に苦しむ女性がいた。50年間、30分間さえ熟睡したことがないという。
「私の夢は、健康になり、1時間ゆっくり眠ることです」
女性は西洋医学はもちろん、漢方、健康食品、ありとあらゆるものを試したが治癒しなかった。
私が主催する薬草の講演会に、わらをもすがる思いでやってきた。
女性が言う。「この痛みがなければ、どれほど生きるのが楽になることか。それだけが望みです」
私は尋ねた。「イタドリはありますか」
「ええ、庭先に生えています。雑草として、業者の方に年2回ほど刈ってもらっています」
「そのイタドリを根本20㎝から採り、葉も茎も刻んで日干ししてください。これを60g、コップ5杯の水で半量まで煎じて、1日3回飲んでください」
2週間後、女性から電話があった。
「あれからすぐ、イタドリを乾燥させ飲んだところ、3日後に痛みが軽くなり、1週間後にはすっかり消えました」
女性の声には、感激があふれていた。
それから2年経つ。女性はこれまでの激痛が嘘のように元気に過ごしている。
イタドリは、大げさではなく、人類の救世主である。世界中で数千万人、数億人が、イタドリで救われることだろう」

50年間何をしても治らなかったリウマチによる激痛が、イタドリであっさり治ってしまった。
人はこれを「奇跡」と表現するだろう。しかしこれは奇跡ではない。科学である。
イタドリに含まれるポリフェノールが強力な抗炎症作用を発揮し、それが何らの副作用もなく、女性の苦しみを癒した。
なるほど、ロキソニンや抗リウマチ薬(メトトレキセートなど)には抗炎症作用がある。しかし西洋薬はこの女性を救わなかった。それは、自然の生薬の拙い模倣にすぎない。結局のところ、人は自然の叡智には勝てない。
大事なのは、この自然の叡智を知ることである。そして、それを上手に活用することである。
この植物を「イタドリ」(痛みをとる)を名付けた、そこの古来の人の知恵を感じる。
今後どんな新しい抗リウマチ薬が出ようとも、イタドリ以上の効果を発揮しようとは思わない。
むしろ、古来の知恵に立ち返ることが必要だろう。

>中村篤史について

中村篤史について

たいていの病気は、「不足」か「過剰」によって起こります。 前者は栄養、運動、日光、愛情などの不足であり、後者は重金属、食品添加物、農薬、精製糖質、精白穀物などの過剰であることが多いです。 病気の症状に対して、薬を使えば一時的に改善するかもしれませんが、それは本当の意味での治癒ではありません。薬を飲み続けているうちにまた別の症状に悩まされることもあります。 頭痛に鎮痛薬、不眠に睡眠薬、統合失調症に抗精神病薬…どの薬もその場しのぎに過ぎません。 投薬一辺倒の医学に失望しているときに、栄養療法に出会いました。 根本的な治療を求める人の助けになれれば、と思います。 勤務医を経て2018年4月に神戸市中央区にて、内科・心療内科・精神科・オーソモレキュラー療法を行う「ナカムラクリニック」を開業。

CTR IMG