動脈血は左心房から左心室を経て大動脈弓に駆出されるが、ご覧の通り、これは右回転の流れである。

食塊は食道を経て胃に流れ込み十二指腸へと進むが、この流れも右回転である。

さらに、食塊は小腸から上行結腸、横行結腸、下降結腸へと進み、やがて大便として排出されるが、これも右回転をなしている。

母胎内で赤ちゃんは右回転をしながら骨盤を降りてくる。

そもそも我々の遺伝子DNAも右螺旋構造をとっているし、

さらにいうと、血液は血管内を流れるとき、右回転のらせんを描いている。

心臓はただのポンプではない。また、血管内を流れる血液は、チューブを流れる水と決して同じではない。
だから実際、心臓のポンプ圧だけで末梢まで血液を送り出す人工的モデルを作るのは不可能である。

見習いの循環器内科医が心臓カテーテルの練習をする血管モデルなどは、精妙な人体の拙い模倣にすぎない。それは、このモデルでは血流の螺旋を再現してないからである。
この人体生理を踏まえて、近年では人工血管やステントの設計に際して、螺旋状の血流を再現する形状が使われ始めている。
ちなみに、男性諸君。おしっこをするとき、尿の描く放物線をよく観察してごらん。なんと、血流と同じく、尿も右回転している。
女性も右回転しているけれど、男性よりも尿道が短くまっすぐなので、男性よりも回転が弱く、確認は難しい。
スマホのスローモーションで横から撮影すると、スピンによる「横方向の水滴のねじれ」が見えるはずです。
なんかイグ・ノーベル賞ぽい研究だよね(笑)

岡澤美江子先生の著書『天の配慮』のなかに、このような記述がある。
「自然は右回転が基本である。
人間の体のなかは、すべて右回りである。体のなかにすっぽり収まっている、全長10メートルにも及ぶ胃腸は右巻きである。
地球の自転は、地軸の北方向を正として右回りである。水のたまった桶の底に穴をあけ、水の落ちる様子を観察すれば、右回りの渦を作って流れていく。
ツル植物のほとんど(ツヅラフジ、アケビ、ヤマフジ、アサガオなど)は右回りのつるを巻く。これは生育場所(北半球、南半球)を問わない。種(DNA)に固有の性質である。
植物ばかりではなく、カタツムリの甲羅、サザエの貝殻なども右巻きの造形を示す。
自然界の「右回り好み」は流体にも見られる。
川を見よ。一見まっすぐに流れているように見えても、実は微妙に右回転しながら流れている。だから、自然と右側に蛇行していく。
この回転により水が適度に撹拌を受けることで、たとえば真夏でも水温が極端に上がることがない。水生生物の生存に好ましい環境を提供することになる。
我々の体内、血流だってそうである。血液は右回りのらせんを描きながら体内をめぐっている。果てはDNAの二重らせんさえ、右巻きである」
『天の配慮』の共著者大友慶孝先生は、これら「右と左」が歯科に及ぼす影響を考察した。
つまり、たとえば歯医者でインプラント(顎骨に埋め込む人工歯)固定術を受けるとき、そのインプラントは右回りの回転軸で埋め込まれる。
これは受け手側(患者側)にとっては、左回りの伝播となる回転軸であり、体にとって生理的ではない。体内の負荷を引き起こし、結果、体液のORP(酸化還元電位)が酸化側に傾くことになり、慢性疾患の背景となる。
このように、体内に「右と左」の齟齬を組み込まれた患者では、北半球に位置する日本列島において、高気圧(右回り気流)のときは体調に問題は出ないが、低気圧(左回り気流。台風、突風、竜巻など)は負担となり、体調不良を訴えることになる。
この指摘は実に新鮮だと思った。
僕の患者にも、天気の具合が体調にモロに影響する人が確かにいる。症状の出方は、頭痛、めまい、持病の関節痛の悪化など、人それぞれだが、皆共通して、低気圧のときの不調を訴える。なかには「今日は体調が悪いから、天気がこれから崩れるはず」と、体調から天気の変化を予想できる人さえいる。しかもその予想が、気象予報士よりはるかに精度が高かったりする(笑)
インプラントを受けているわけではなくても、もともと「右と左」に起因する不調が背景にあって、それが低気圧によって表面化する、ということかもしれない。
動植物の「右と左」は、案外簡単に撹乱する。
たとえば、ツル植物は巻き付く対象物によってツルの右巻き左巻きが変化する。木々などの自然物に巻き付くときは右巻き、金属やナイロン紐には左巻きになることが多い。
胎児に無害とされるエコーであるが、中国で行われた人体実験によれば、胎児期のエコー曝露の時間が長いほど、出生後に左利きになる可能性が高くなることがわかっている。
「右と左」のキラリティを混乱させる何らかの因子があるのだろう。
たとえば、つむじの回転方向。

こうちゃんは左巻きで、僕も左巻きだけど、日本では左は少数派で、右巻きが多数派を占める。日本では、というか、北半球在住者では右巻きが多いし、右利きでは大多数(9割以上)が右巻きである。逆に、左利きでは左巻きの確率が高くなる。(A. Klar, 2003)
自閉症の男児ではつむじを複数持つ傾向があり、また、「左利きかつ左目優位」の人では、つむじが頭頂部から離れた位置にあるという特徴が確認された。
https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/23754262/
「右と左」の齟齬が病気の原因になり得るのならば、逆に、この齟齬を是正するアプローチによって、症状が緩和するかもしれない。
岡澤先生も著書のなかで、「右回りのらせん回転動作によって、還元力が高まる可能性」を追求したいと書かれていた。
岡澤先生が上記著書を出版されたのは97歳のときであり、この5年後、2022年に102歳で亡くなった。右回りのらせんが健康におよぼす影響について、追及する余裕はあまりなかったと思われる。岡澤先生の無念を受けて、僕が引き継ぎたいテーマでもあります。