60代男性
「10年ほど前から糖尿病があって、3年前に前立腺の癌になった。癌はリュープリンでコントロールできていて、現状特に困っていない。
困っているのは、最近できた水虫です。
病院処方の薬では全然治らない。ニンニクのすりおろしがいいという記事を見たけど、むしろ炎症がひどくなって、皮がむける感じになる。
主治医からは「糖尿の人が水虫になると感染症で、足切断にもなりかねない」と言われて、心配です。どうにかなりませんか」
水虫に対してニンニクが著効することについて、以前の記事で書いたことがあるけれど、すりおろしでは刺激が強すぎたようだ。焼酎漬けにするとか、酢漬けにしたほうが刺激が少なく、使いやすいだろう。
もうひとつ、上記男性は糖尿病があり、しかもコロナワクチンを複数回接種しているから、当然免疫は下がっている。そのせいで、水虫にも癌にもかかりやすい。だから、糖尿を改善し、ワクチンのデトックスに努めることが必要だ。それで免疫能が上がり、結果、水虫の改善に寄与することになる。
しかし、ニンニクよりも何よりも、水虫に対しては、もっと根本的な解決策がある。
答えをあっさり言う前に、水虫とは何たるかについて、ざっと振り返ってみよう。

水虫に悩む人は、およそ2000万人と推定されている。国民の5、6人に1人が罹患しているわけで、国民病と言えるだろう。
水虫という言葉の由来をご存知か。
江戸時代以前、水虫は水田で働く農民や、川に入って洗濯などをする女性の足にできる病気だと考えられていた。そこで、水田や川にいる正体不明の虫が病気の原因ということで、水虫と呼ばれるようになった。
しかし実際のところ、水虫の患者が増え始めたのは明治以降のことである。
原因は分かっている。靴を履くという西洋の習慣が始まったためだ。とはいえ、明治初期の頃は、庶民の大半は下駄や草履を履くのが当たり前で、水虫の大流行までは至らなかった。
日本における最初の水虫の爆発的流行は、軍隊がきっかけである。
徴兵制が始まり、農家の次男、三男などが軍隊に入り、軍靴を履くようになった。通気性のいい下駄や草履から一転、気密性の高い軍靴を一日中履いたまま過ごすようになり、それで多くの人が水虫になった。
日本の敗戦後、軍の消滅とともに水虫の流行もいったん収束したけれど、1960年代から第2の水虫の大流行が始まった。今度の原因は、ナイロン製の靴下である。
ちょうど高度経済成長の時期で、ナイロン製の靴下が、子供から大人まで大流行し、男性用靴下に至っては、実に95%がナイロン製になった。固い綿の靴下はみじめな敗戦国の象徴、逆に、柔らかく伸縮性のあるナイロン製の靴下は豊かな戦勝国の象徴のように思われて、人々はこぞってナイロン製の靴下をはくようになった。しかしナイロン製の靴下は通気性が悪く、これが水虫の増殖にうってつけの環境を用意することになった。
以上は、水虫という病気の歴史です。
この歴史を見れば、どのようにして水虫の予防や治療をすればいいか、見えてきます。
軍靴を履くようになってから、また、ナイロン製の靴下を履くようになってから、爆発的に流行した。ということは、水虫対策は、一にも二にも乾燥、三、四がなくて、五に乾燥です。とにかく、足を蒸らさないようにする。これに勝る対策はありません。
一般の皮膚科では、水虫の原因は、白癬菌というカビの一種だということになっている。つまり、水虫は、れっきとした真菌感染症のひとつだと。だから、治療には抗真菌薬が第一選択になっている。
しかし、上記の歴史を見れば、抗真菌薬の治療は的外れです。それよりもまず、乾燥が大事ということがわかるだろう。
靴を履くのをやめて、サンダル履きを基本とする。靴下は履かない。カビは湿潤環境を好むもので、逆に、風通しの良い環境では繁殖できない。足裏の乾燥を心がける。それだけで、水虫の半分は治るだろう。
あとの半分、「乾燥させただけでは治らない」という人には、ニンニクの酢漬け(あるいはアルコール漬け)を勧めたい。
作り方は簡単。皮をむいた生のニンニクを瓶に入れ、酢をひたひたになるまで入れる。3カ月も漬け込めば、それで完成です。そのエキスを水虫の患部に塗ってごらん。数日続けるうちに、治ってきますよ。
ほかならぬ、僕の父の話です。長年水虫に悩んでいて、市販の薬をいろいろ試したけど、何をやってもよくならない。そこで、ニンニク酢を試してみたら、劇的に効いた。長年の症状が嘘のように治った。
抗菌薬で治らなかったのに、ニンニク酢で治ったわけです。
抗菌薬よりもニンニク酢のほうが優れていると考えるべきだろう。実際、抗菌薬には耐性菌が生じるものだけど、ニンニクには耐性菌が生じない。「メチシリン耐性ブドウ球菌」という言葉を聞いたことがあっても、「ニンニク耐性ブドウ球菌」という言葉は聞いたことがない。ニンニクは5千年前、古代エジプトの時代から抗菌作用が知られていたが、耐性菌はいない。しかし、抗菌薬には耐性菌が生じてしまう。
人為の浅はかさを思います。
やっぱり、自然天然のものにはかなわないんだなと。