・チョコレート
甘いものは控えめに、と患者に指導しているけれど、本当のところ、チョコレートには健康効果がある。チョコレートには、カカオポリフェノール、GABA、マグネシウムなどの栄養成分が含まれていて、「単なる砂糖のかたまり」というわけではない。

以前の記事で「砂糖の含有量が同じお菓子ならチョコレート(特にダークチョコレート)のほうが虫歯の発生率が低い」ことについて紹介した。
https://note.com/nakamuraclinic/n/nf6b9f1b1c5be

しかし最近、チョコレートには鉛、カドミウムなどの重金属が高濃度に含まれているというニュースを見た。72種類の商品のうち、43%で鉛が、35%でカドミウムが、それぞれ基準値を上回っていたという。
こういう場合、「大手の粗悪な商品だからダメなのであって、有機オーガニックのお高めな商品なら大丈夫だよ」と言いたいのだけれど、残念ながら事実はむしろ逆で、「オーガニックの商品ほど、有意に高濃度のカドミウムと鉛が含まれていた」というのだから、まったく浮かばれない。
チョコレートは嗜好品だから、必ずしも食べなくても生きていけるけど、日本人は米なしでは生きていけないと思う。しかし、そんな米からも高濃度のカドミウムが検出されたというのだから、気が滅入る。

・プロテイン
さらに、プロテインからも鉛、カドミウムが高濃度に検出された。しかも、チョコレート同様、オーガニックのプロテインのほうがリスクが高かった。具体的には、オーガニックプロテインパウダーは、非オーガニック製品に比べて、鉛は3倍、カドミウムは2倍多く含まれていた。
さらに最悪なのは、プロテインのチョコレート味で、これはバニラ味に比べて、鉛は4倍、カドミウムは最大110倍多く含まれていた。

僕はもともと、プロテインの摂取については、積極的には推奨していない。「普通に肉とか魚を食べればいいやん」という感じで、それだけでは足りず、あえて牛乳のパウダーまで摂る必要はないと思っている。
https://note.com/nakamuraclinic/n/n22c410130e3c
さらに、今回の報道が示すように鉛やカドミウムの曝露源になるというのなら、ますます飲む必要はない。
・飛行機内の殺虫剤
患者の話を聞いていると、街中でシェディングを感じるという人も、意外に飛行機内ではシェディングを感じないという声が多い。飛行機内では換気が徹底されているためだろう。だから、僕は飛行機内の空気はきれいなものだと思っていた。しかし最近目にした記事によると、どうもそうではないらしい。

飛行機では、乗客が搭乗する直前に殺虫剤を噴霧する。
パーメスリン(permethrin)という殺虫成分が入っていて、これにより、デング熱、黄熱、マラリア、ジカ熱などの病原生物が媒介する感染症の予防になるという。また、ダニやゴキブリなどの害虫の駆除にも有効だという。
なるほど確かに、飛行機内で蚊やハエを見たことがないのは、客室乗務員が熱心にこのスプレーを撒いていたおかげだったのかと合点がいった。
しかし、病原生物や害虫の駆除が目的とはいえ、それでも、殺虫剤である。人間にとって本当に無害なのか。
パーメスリンの毒性について調べると、「ヒトや家畜に対する毒性は低い。一方、ネコや魚類に対しては毒性が高い」とのこと。
毒性が低いとはいえ、正直いい気持ちはしない。
コロナ禍で、僕は飛行機内でもできるだけノーマスクで通していたけれど、こんな殺虫剤吸入のリスクがあると知っていたら、羊のようにおとなしくマスクしていたのに(笑)いや、マスクしたって、殺虫剤のような分子構造が小さい物質では、意味ないか。
僕はゴキブリを見つけても特に何も感じず、黙ってすぐさま手でつぶすぐらいだから(そういう姿を見て嫁が絶叫する笑)、殺虫剤の潜在的リスクよりも、ゴキブリの出現リスクのほうをとりたい。だから、航空会社に対しては、こんな殺虫剤は使うのやめてくれ、と言いたいのだけれど。
・電磁波/放射線
海外のツイートで、「飛行機に乗る前、保安検査場でセキュリティチェックを受ける。そのとき、X線の輪っかをくぐるけど、あの放射線被曝にも気をつけろ」というのがあって、ああそれは盲点だったなと思った。

1998年には「ボディスキャナーは被曝リスクがあるから導入されない」と言われていたのが、今や世界中の保安検査場で設置されている。
こうちゃんみたいな2歳児とかもあれを受けなきゃいけないっておかしくないか。「10歳児以下は、あのセキュリティチェックを受けなくてもいい」とか、できれば免除し欲しい。
飛行機は殺虫剤とか放射線とかリスクがあるのなら、新幹線で行こうかと思うけど、新幹線も無害ではない。
新幹線の中央部は80mG(ミリガウス) 、窓際で15mGの電磁波を受ける。実際の被爆量は、これと時間との掛け算です。東京大阪間なら、2.5時間をかけます。
今リニアが建設中だけど、リニアに1回のると1万mGの電磁波というから、新幹線なんて可愛いものです。

ちなみに、家にホットカーペットを敷くと、30mGの電磁波が出てる。ホットカーペットとか電気毛布は、あれはそれ自体の電磁波放出量と時間、あと距離との掛け算になるので、かなり危険ですね。ホットカーペットは長時間体と密着してるので、テレビ(50mG)よりもリスクが高いと考えるべきでしょう。あるいは、電気ひげそりは100mGとけっこう高いし、皮膚に密着して使うものだけど、使用時間はせいぜい数分だから、それほど被爆量は高くない。
・食品添加物
アメリカで合成着色料の赤3号の使用が禁止されたという報道があった。これを受けて、日本の消費者担当大臣は、赤色3号の安全性を強調するという、信じられない記者会見を行った。

米FDAやEUは「赤3号には動物実験で発癌性が認められているため使用禁止」というスタンスだが、日本は「ヒトへの発癌性を示す証拠はない」から使用オッケーだという。人への有害性が確認されない限り禁止しないということだ。
みなさん、この一事をとってみても、日本という国が自国民をどう思っているか、よく分かると思います。
「国が認めているのだから大丈夫」などとのんきに言える時代は、とっくに終わりました。自分で情報を仕入れて、自分の健康は自分で守っていくしかありません。
・黒いプラスチックの調理器具
「調理器具に気をつけて」と言った場合、たとえばアルミ鍋とかアルミホイル、フッ素コーティングをしたフライパンや炊飯器の内釜、陶器の含まれる鉛などに注意を促すつもりで言っているんだけど、黒いプラスチックでできたフライ返しとかおたまは案外盲点だと思います。
黒いプラスチックの調理器具、といってイメージ伝わりますかね?
画像的にはこういうやつです。

鉄製じゃないですよ。鉄なら無害です。
この黒いプラスチック製のおたまとかフライ返し、何から作られているのか?
原材料は、なんと、パソコンなどの電子機器からできています。古くなった電子機器のプラスチック部分は、リサイクルされる。別にリサイクルを否定するつもりはない。その行為自体はエコであり、好ましいことだ。
しかし問題は、電子機器を構成するプラスチックには難燃剤が含まれていることだ。パソコンなどの電子機器は、使用に伴って熱を発生する箇所があり、火事のリスクがある。だから、パソコンのプラスチックパーツには、事前に難燃剤が練り込んである。これによって燃えにくくなり、火事を防ぐことに役立っているものの、しかしこの難燃剤入りのプラスチックが再利用され、調理器具になったらどうなるか?
調理器具は、フライ返しであれおたまであれ、高い確率で熱に曝露する。それも、料理の際に発生する熱は、PCの使用に伴って発生する熱とは比較にならないほど強力なものだ。黒いプラスチックのフライ返しが、この熱に曝露すると、難燃剤が溶け出し食材に移っていく。その難燃剤、いったい摂取しても大丈夫なのか。何らかの健康リスクがあるのではないか、という話です。
難燃剤はかなりやばい健康リスクがある。列挙すると、発癌性、内分泌撹乱作用、神経毒性、生殖毒性といったところだ。
100均とかで買った安いプラスチックのフライ返しとかおたまを使ってる人は多いと思う。そういう人は、健康リスクだから気を付けて。

この研究で、黒プラスチック調理器具のなかに本当に難燃剤が含まれているかどうか、203製品について調べたところ、分析した製品の85%から難燃剤が検出された。しかもその濃度は最大で、22800 mg/kgに達した。
難燃剤の種類について調べると、電子機器のケースに使われるプラスチック(BDE、DBDPEなど)の量が多かった。つまり、明らかに電子機器部品のプラスチック由来だった、ということです。
さらに、これらの黒プラスチック調理器具を料理の際に使っている人の難燃剤摂取量を調べると、中央値は34700 ng/日となり、ほこりや食事からの摂取量を上回った。つまり、黒プラスチック調理器具由来の毒物がしっかり体に取り込まれているということです。


癌や不妊の原因を考えたとき、ざっと添加物や農薬、薬、ワクチンなどが頭に浮かぶけれど、まさか、鍋をかきまわすおたまとか、野菜炒めを混ぜるフライ返しが原因で癌になったり不妊になったりするとは、想像もつかないだろう。
しかし、この現代、僕らの生活のあらゆるところに毒が潜んでいる。
隠れた毒を注意深く避けて、健康を守っていくしかない。