患者よ、癌を怖がるな

癌を怖がってはいけない。

これは確かなことです。僕は癌に対する恐怖が引き起こす様々な不幸を見てきました。癌が引き起こす不幸、ではありません。癌に対する恐怖こそ、不幸の元凶です。
どういうことか、説明しましょう。

40代女性。
「チラージンを1日75㎍飲んでいます。手の震えとか副作用が出てるので、できればやめたい。一時期自己判断で飲まなかった時期があって、採血するとコレステロールがすごい上がってて、主治医から怒られました。「飲んでないからこうなるんだ」と。それでまた言いつけ通りに飲むようになりました。
5年前、たまたま病院で受けたエコー検査で、甲状腺に癌が見つかりました。乳頭癌というタイプで、「比較的良性で進行の遅い癌だから必ずしも切る必要はない」とのことでしたが、自分の体のなかに癌があるという事実が耐えられなかった。それで、切ってくださいとお伝えしました。甲状腺全摘になり、以後チラージンを飲んでいます。
もともと甲状腺の症状は何もありませんでした。橋本病とかバセドー病とか、何か症状があったのならともかく、症状は何もない。ただ、エコーで癌が見つかった。それがきっかけです。何も症状がなかったのに、手術をして、薬が必要な体になり、いろいろな不調に悩んでいる。「なんてバカなことをしたんだろう」と思って、手術したことを後悔しました。
薬が一生必要な体になったことを受け入れたくなくて、一気にチラージンをやめたことがあります。何か、冷え性とか無気力とか症状が出るかと思ったら、意外に全然症状が出なくて、これでいけそうと思ったけど、採血でコレステロールが高かったことから、チラージンを飲んでないことが主治医にばれて、怒られました。それでまた75㎍飲み出したのですが、体がだるいし、手が震えたりします。自己判断で50に減らすと怒られるので、悩ましいところです。
甲状腺をとった後、婦人科で「右の卵巣が腫れている」と指摘されました。「腫瘍かもしれない。悪性の可能性があるからとったほうがいい」と。
甲状腺の一件で懲りているので、どうしようかと思っているのですが、先生は切除したほうがいいと思いますか?」

この方は、医療との付き合い方を一度考えたほうがいいですね。
元気で日常生活が送れている。それならもう、何も医療に頼ることはありません。病院になんて近づいちゃいけません。
定期健診?そんなの必要ない。あれは患者の掘り起こしです。血圧が高いとかコレステロールが高いとか、人を無駄に不安がらせて、病院受診につなげて、薬を売り込む。定期健診というのは、病院の「営業」です。こんなマーケティングに乗っちゃダメですよ。健康を失うだけですからね。

自分が病気なのか健康なのか、その判断を簡単に他人にゆだねちゃいけない
何か不快な症状があって、しんどい。「何かの病気かもしれない」それで病院に行くなら、まぁ分かります。でも何の症状もないのに、わざわざ病院に行く。病院から「何も問題ありません。健康ですよ」という太鼓判を押してもらって、初めて安心できる。もはや、健康なのか病気なのか、自分で判断する能力を失ってしまったみたいだ。
もう一度、素朴な感覚を取り戻しましょうよ。
ご飯がおいしくて、毎日いいウンコが出て、仕事とか家事ができて、ぐっすり眠れる。それ、健康ってことです。血圧測ったら160?LDLコレステロールが200?それが不安?もうね、そういうことは忘れなさい(笑)

症状があるときに、初めて病院受診を考える。それが病院の正しい使い方です。
ただ、なかには、ちょっと風邪を引いただけですぐに病院いくような人もいる。あのさ、風邪ぐらい自分で分かるよね。「あ、風邪だな」って。そういうとき、やるべきことは、休養です。水分だけ摂って、家で布団にくるまって、寝る。シンプルです。むしろ、病院に行っちゃダメですよ。解熱薬が出て、咳止め薬が出て、抗生剤が出て、症状を薬で無理やり押し込めることを「治った」と言っている。バカボンのパパが棒でナスビを突き刺して「ボーナス」と言っていましたが、同じぐらいに滑稽なことをしています(笑)

逆に、病院に行くべきときもあります。
西洋医学の得意分野は救急です。西洋医学は戦場で生まれた医学なので、「心臓が止まりそうな人の心臓を無理やり動かす」とか「息が止まった人の呼吸を無理やり復活させる」とか、そういうのは得意です。だから、死にそうになったときは病院のお世話になってください(笑)

でも、そんな西洋医学(=戦場の医学)で慢性疾患にアプローチすると、悲劇が起こります。
たとえば、癌。
癌は典型的な慢性疾患です。食事とかライフスタイルとか長年の生活習慣を背景にして癌が発生するのだから、生活習慣の改善なしに癌の改善はありえないし、「戦場の医学」はこんな慢性疾患に本来無力のはずです。
しかし多くの人は、生活を特に改めることもなく、医者に頼ろうとする。「先生の言いつけを守るのでなんとか癌を治してください」と。
医者のほうでも、食事や生活習慣の改善指導なんてせず、手術したり抗癌剤つかったりするだけ。
そんなふうにして、これまで無数の患者の命が失われてきました。しかし患者が一方的な被害者かというと、そうではないと思う。悲劇は、患者と医者、無知な両者の共同作業により生まれます。この悲劇は、これからもずっと続くでしょう。

上記の女性は、まず、医者のご機嫌とりをやめるべきです。
75μgのチラージンを飲んでて、手の震えなどの副作用が出る。「多すぎるんじゃないか」と思って、自己判断で薬を中止した。結果特に何の不調もない。すばらしいことじゃないですか。自然に断薬できたのだから。

しかし病院で採血しコレステロールが高いことから、服薬してないことがばれた。それで医者が怒った。
これはどのような「怒り」か、分かりますか?
患者の健康を思っているから怒った?
違います。

西洋医学にできることは、基本、薬だけです。医者は薬を出すことしかできない。それが医者の仕事なんです。だから医者は薬に嫌悪感を示されたり薬を勝手にやめられることを猛烈に嫌います。それは自分の仕事の否定だからです。

患者の健康を真に思う医者ならば、「チラージンを飲まずに元気にすごせてるとはすばらしいですね!コレステロールが高いことが気になりますが、でもとにかく断薬できてよかった!」そう喜ぶべきところです。
しかし医者の目線はそんなところにない。
薬を否定された。自分の仕事を否定された。それで医者の誇りが傷つけられた。だから怒ったわけです。
こんな怒りに律儀にお付き合いする必要はなかった。チラージンなしで過ごせるのなら、それが一番よかったのに。

それから、上記の女性は、癌の何たるかを知るべきでした。

一般的に、癌は最も「待てる」病気です。徐々に大きくなり、浸潤し、転移し、生体機能をむしばんでいく。年単位で進行するのが普通です(ただしコロナワクチン接種後のターボ癌など一部の例外は除きます)。
癌と分かれば、心を入れ替えて、生活習慣を改め、しっかりと対策を立てることもできる。それだけの余裕を持てるのが、癌のありがたいところです。
だから、癌だと診断されても、上記女性は何も不安に思う必要はなかった。
ましてや甲状腺の乳頭癌は、低悪性度なら10年生存率は99%以上、高悪性度でも69%だから、恐れる必要はさらになかった。
「そもそも甲状腺乳頭癌は癌ではない」という意見さえある。こんな腫瘍を「癌」と表現している医療の側に問題があるだろう。患者の不安を煽るだけだから。
医療には、この手の「煽り」が満ち満ちています。
まず、病院に近づかないこと。これだけで寿命は10年延びますからね(笑)

>中村篤史について

中村篤史について

たいていの病気は、「不足」か「過剰」によって起こります。 前者は栄養、運動、日光、愛情などの不足であり、後者は重金属、食品添加物、農薬、精製糖質、精白穀物などの過剰であることが多いです。 病気の症状に対して、薬を使えば一時的に改善するかもしれませんが、それは本当の意味での治癒ではありません。薬を飲み続けているうちにまた別の症状に悩まされることもあります。 頭痛に鎮痛薬、不眠に睡眠薬、統合失調症に抗精神病薬…どの薬もその場しのぎに過ぎません。 投薬一辺倒の医学に失望しているときに、栄養療法に出会いました。 根本的な治療を求める人の助けになれれば、と思います。 勤務医を経て2018年4月に神戸市中央区にて、内科・心療内科・精神科・オーソモレキュラー療法を行う「ナカムラクリニック」を開業。

CTR IMG