
1922年考古学上の大発見がありました。英国の考古学者ハワード・カーターによるツタンカーメン王墓の発見です。未盗掘の王墓が見つかったことは過去に例がなく、考古学会が沸き立ったことはもちろん、世界中のメディアがこの発見を大きく報道しました。
しかしこの世紀の大発見は、まもなく、奇妙な盛り上がり方をすることになります。

大発見から数か月後の1923年4月5日、カーターを財政面で支援していたカーナヴォン伯爵が亡くなった。顔の左頬を蚊に刺され、そこから敗血症を発症したことが死因だったが、ちょうどツタンカーメンの顔の左側にも傷があったことから、メディアは「ファラオの呪いではないか?」と騒ぎ始めた。
その翌月(1923年5月16日)には墓の開闢に立ち会ったジョージ・グールド1世が肺炎で死亡。
さらにその2か月後の1923年7月10日、発見された王墓を訪れたエジプト皇太子(アリ・カメル・ファーミー・ベイ)が妻に殺される事件が起こった。
さらにその2か月後の1923年9月26日、カーナヴォン卿の兄弟のオーブリー・ハーバート大佐が死亡した。ファラオの発掘に立ち会った関係者が次々と亡くなっていたことから、メディアは「カーナヴォン卿の血族にまで呪いが及んだ」と報道した。
1924年、カーターの発掘団の一員であったヒュー・エヴリン・ホワイトが自殺した。現場には、呪いにつきまとわれていることを苦にするメモ書きが残されていた。
1924年放射線科医のアーチボルド・ライドがツタンカーメンのX線写真を撮ったところ、翌日から体調を崩し3日後に急死した。
1925年カーターは、友人であり編集者でもあるブルース・インガムにエジプト土産として文鎮をプレゼントした。この文鎮は本物のミイラの手からできていて、その手にはブレスレットがはめられていた。ブレスレットには『私の体を動かす者は呪われる』と刻まれていた。その文鎮を受け取ってまもなく、インガムの家は火災にみまわれ全焼した。
1928年カーターの発掘団の一員であったアーサー・メースが死亡した。

つまり、カーターがツタンカーメン王の王墓を発掘してから数か月から1,2年のうちに、墓の発見に立ち会った26人のうち、6人が次々と亡くなったことになる。
メディアはこれを「ファラオの呪い」として大きく報道し、興味を搔き立てられた人々は我先に新聞に飛びついた。こうして新聞各社はこの一件で販売部数を大いに伸ばした。
さて、この発掘関係者の一連の死亡、いったい原因は何なのか?
本当に「呪い」と考えるべきか?それとも単なる偶然か?あるいは、なんらかの心理的ストレスによるものか?
100年前、ちょうどこの一件が話題になっていた当時、画期的な説を唱えた人がいました。それは、作家のコナン・ドイルです。名探偵シャーロック・ホームズの生みの親として、今でも有名ですね。
彼は、この一連の死亡につき、こう言っています。
「王の墳墓を荒らす墓荒らしを懲らしめるために、致死性のカビのようなものが意図的に配置されていたのではないか」

これは卓見です。さすが、後世に名を残す作家ですね。
僕もこれとほぼ同意見です。カーターが王墓の内部を調査する様子を撮った白黒写真をAIで色付けすると、ツタンカーメンの棺の中がいかにカビまみれであったか、よく分かります。肺炎で亡くなっている人が多いのは、カビによるものでしょう。
ただ、このカビは、ドイルのいうように「王墓を守るための意図的なもの」ではなく、未盗掘の密閉された環境下で大繁殖しただけだったと思いますが。

先月末、沖縄に行った際、比嘉照夫先生にお会いしてきました。
初めてお会いしたのは去年の10月で、そのときは先生、やや体調を崩されているようにお見受けしました。しかし今回お会いして、ずいぶん元気になっておられて、安心しました。先生は体調不良のときにはEM菌の摂取量を増やします。自分の開発したEM菌が、自分のピンチを救ってくれるのだから、すごい説得力です。
比嘉先生によると、「この手の肺炎は、古い遺跡や建物を調査している人の職業病」みたいなもので、全然珍しいものではないという。

呪いでも何でもない。カビ(アスペルギルスなど)による肺炎というのが答えです。
エジプトという温暖な土地で、ピラミッドの内部という密閉された湿潤環境はカビの繁殖にうってつけで、しかもその密閉空間は5千年間一度も換気されたことがない。それはもう、莫大なカビがわいていたに違いありません。
そこを、上記の写真にあるように、カーターらの発掘団は防塵マスクもつけずにズカズカと入って行った。ほとんど自殺行為です。墓の開闢に立ち会った人たちに肺炎が多発したのも当然のことだった。
対策は、殺菌/消毒ではありません。
みなさん、風呂場のタイルにカビキラーをまいて、黒カビを根絶できましたか?できません。一時的に消えたとしても、黒カビはまた復活します。殺菌ではなく、共生を目指しましょう。気になる部分にEM菌をスプレーする。EM菌というのは、乳酸菌、酵母菌、光合成細菌などいわゆる善玉菌のちゃんぽんエキスです。このエキスを黒カビに噴霧すると、そこに微生物同士の関係性が生まれます。善玉菌たちが、暴走する黒カビを「まぁまぁまぁ」となだめてくれる。菌には菌の声が一番届きます。
同様に、カーターの一行も、ファラオの玄室に入るときに、部屋全体にEM活性液を散布すればよかった。それだけで「ファラオの呪い」は防げたはずです。
ピラミッドの内部で数千年も未盗掘、などという極端な事例までいかずとも、ろくに窓もあけず掃除もされないまま何年も閉め切った部屋で暮らす人というのは、僕らの身の回りにざらにいます。その人の部屋には、ツタンカーメンの王墓にはびこっていたのと同様のカビが繁殖しているはずです。気道粘膜の免疫が強い人ならともかく、免疫系が弱い人がそういう部屋で長時間過ごすと、呼吸を通じて肺にカビが侵入し、発熱、咳、痰などの肺炎症状を呈することになります。典型的な肺アスペルギルス症です。
【症例】20歳男性
【主訴】周期性発熱
【患者の言葉】
「だいたい3カ月おきに発熱します。今、大学生で一人暮らしをしているのですが、熱が出るようになったのは、この1年ほどのことです。コロナワクチンは打ってないし、シェディングの影響も全然感じません。
熱の原因はまったく分かりません。38℃とか、高いと39度を超えることもあるけど、4,5日ほど休んでいると下がります。特に薬を飲むこともなく治ります。熱以外、咳も下痢もありません。ただ、あごとかのどのリンパ節が腫れます。
ペットショップでバイトしています。犬猫はもちろん、オウムとかインコ、ふくろう、ネズミ、亀とか爬虫類、なんでも扱ってるお店です。
食事は正直、一人暮らしを初めてからだいぶ乱れました。いわゆるジャンクフード的なものはけっこう食べるし、学食でラーメンとかよく食べます」
この話で一番ひっかかるのは、「ペットショップでバイト」です。過敏性肺臓炎を疑います。
過敏性肺臓炎とは、いわゆる肺炎とは違います。一般的な肺炎は細菌やウイルスなどの病原体が肺胞に感染して引き超す炎症のことですが、過敏性肺臓炎は、ひとことでいうと肺のアレルギー反応のことです。変なもの(抗原)を吸って、それで肺の免疫系が興奮して、発熱、咳、だるさなどの症状が出ます。
その「変なもの」のパターンとして、家のカビ、農業のカビ、エアコンのカビ、鳥の糞、キノコの胞子などがあります。

いわゆる「ゴミ屋敷」とか「汚部屋(おへや)」に住んでいる人の発熱を見れば夏型過敏性肺臓炎を疑うし、「エアコンの効いた部屋にいると熱っぽくなってしんどい」人はエアコンのカビにやられているかもしれない。コロナ禍でポリウレタン製のマスクをしている人が増えたから、イソシアネート由来の過敏性肺臓炎も増えている。
上記の症例では、鳥飼病が疑わしい。
対策は、まず、ペットショップ内の徹底換気。それだけで問題の半分は解決します。
もう半分、部屋全体に様々な動物由来の成分が飛散し、壁などにカビがしみついているはずなので、これについては、スプレーボトルにいれたEM菌で、部屋全体をシュッシュする。
でも雇われの身分だから、「寒さに弱い生き物もいるのに、勝手に窓を開けるな!」とか「EM菌とかわけわからんものを撒くな!」とか店長に怒られかねないから、そうであればバイトをやめるしかないね。抗原が原因の発熱なら、抗原から離れれば即、問題解決だよ。