これまで当院主催で未接種パーティーを何度か行ってきましたが、、
僕は何もしない。ただ、場を提供するだけ。頑張るのは参加者のみなさんです。みなさんはプレイヤーとして、積極的に話しかけたり受け答えしたりして、素敵な異性とのご縁を求める。連絡先を交換し、関係性をはぐくみ、それが交際に発展することもあるでしょう。不発に終わることもあるでしょう。それこそ、みなさん次第、ご縁次第です。
僕が主催した場で、いくつの恋愛が成就したのか、僕は知らない。交際が始まったとしても、あるいはその交際が結婚に至ったとしても、僕への報告義務はないからです。どうぞご自由に、みなさん幸せになってくれればいい。
4月20日東京で、5月3日神戸三宮で、未接種パーティーを開催します。
東京のほうは定員200人の大規模会場で、神戸のほうは20人(男女10、10)の小規模で行います。


同じ未接種パーティーとはいえ、参加者200人と20人では、雰囲気が全然違う。どちらにも一長一短があって、単純に「多くの候補者のなかから選べる」というのはメリットだけれど、心理学の実験で「選択肢が多いほど購買意欲が低下する」というのがある。人間は選択肢が多すぎると選ぶことをやめる性質があるらしい。だとすると、小規模なほうがいいと思われるけど、かといって、選択肢が少なすぎても「たったこれだけの中から選ばなきゃいけないの?」となって満足度が下がる。人間は実に不合理で身勝手なものなのです(笑)
主催者目線でいうと、やってて楽しいのは小規模なパーティーです。それは、顔が見えるから。男女10人10人ぐらいだと顔と名前の把握が可能で、はたで見てて、昔の「ねるとん」を見てるような感覚です。男女100人100人となると、参加者は巨大な「モブ」で、そこには固有名詞がない。集団の放つ熱気のようなものがあって、あれはあれで楽しいものだけどね。
未接種パーティーを主催した当初、多くの批判の声を聞きました。「高い参加費とってどうせ金儲けだろう」みたいな。うんざりします。金が目的なら、医者として普通に仕事してるほうがよほど儲かります。休日は子供(こうちゃん)や犬(ロンツモ)のため、家族サービスのためと決めているのですが、未接種パーティーなどをやっては丸一日潰れてしまう。会場のレンタル代とか東京への交通費とか、一応赤字が出ないようにしてるけど、これで稼ごうなんてとんでもない。でも批判の声だけはしっかり届く。バカらしくなって、長らく会の主催から遠ざかっていました。
未接種パーティーをすることで僕にメリットがあったとすると、それは人との縁です。異性との縁ではありません。僕は既婚者なので(笑) 当院の動画編集などを手伝ってくれるひめい君とか、当院に月2回出張施術に来てくれる佐々木君とか、今後も長く続くであろう交友関係を得ました。
それともうひとつ。
東京で主催した会で、たまたま妻が話した20代女性が求職中だった。「神戸出身?じゃうちで働いてみない?」ということで、話がトントン拍子に進み、実際うちで働くようになった。有能な人で、僕もありがたいと思っていたのですが、半年ほど経った頃こんなことを言われた。
「未接種婚活で知り合った人とお付き合いするようになり、先日プロポーズされました。私のほうでも素敵な人だなと思っていたので、お受けしました。ただ、彼は某県で自然農の農家をしている人で、「結婚したら神戸を出てこっちに来て欲しい。そしてできれば仕事はやめて家庭に入って欲しい」と言われています。だから、お仕事はやめる方向でお願いしたいのですが」
妻は、当院で末永く働いてくれる若い女性を探していました。せっかく妻のお眼鏡にかなった優秀な人が来たと思ったのに、若い女性であるということは、こういうリスクがあります。結婚による離職です。せっかくいい人を見つけたのに、せっかく仕事を覚えてくれたのに、いろんな意味で残念です。しかし、幸せの門出ということであれば、笑顔で見送らないわけにはいきません。なので今、当院は社員募集中です(笑)
未接種パーティーがきっかけで深い仲になった事例として、もうひとつ。
2023年年8月当院主催のオーバー45歳の未接種パーティーに参加し、そこで連絡先を交換し、まもなく交際が始まった人がいる。https://note.com/nakamuraclinic/n/n04c3ce6dee81
この女性は当院に通院しているが、何も持病はない。僕の「患者」というよりは、僕と雑談をするために通院している。そんな人は何人かおられます(笑)
だからこの女性が、未接種パーティーでご縁を得た男性と良好な関係であることは、通院のたびに聞いていた。
しかし2024年11月8日、初めて彼氏をともなって来院された。
「以前からお伝えしていたように、今日引っ越しをします。神戸から彼の住むX県に引っ越して、一緒に住むことになりました。
神戸は今日で最後なので、彼と一緒にあいさつに来ました。先生のおかげで、私たち、出会うことができました。ありがとうございました」
「よかったなぁー。でも僕は場をもうけただけで、何もしてないよ。関係性をちゃんとはぐくんだのは、二人の努力のたまものやからね」
これは本音です。僕としては、たくさんの縁が生まれればいいなと望んではいるけれど、具体的に何かできるわけではない。ただ、場を設定するだけ。プレイヤーは参加者の皆さんだから、縁が生まれるか否か、恋が実るも散るも、すべて皆さん次第です。
彼氏「話があうので、いい関係を保てています。たとえば世間ではいわゆる陰謀論と言われている事柄についても、お互い分かっているので、ちゃんと話し合えます」
彼女「引っ越し先では、ケーブルテレビが入るけど、テレビはもう要らないねってなりました。テレビから情報をとることはないだろうから。
X県は遠いので、ここの受診は今日で最後です。完全に引っ越すので、神戸にはもう戻らないつもりです。先生、最後に記念撮影してください」
受付にいるスタッフに声をかけ、カップルが僕を左右にはさむ並びの写真を撮った。
二人が診察室を出ていった後、僕は「よかったなー」と何度も繰り返した。「ほんまによかったなー」
場を設けただけ。何もしていない。それは本当のことだ。
しかし、さりとて、僕がもうけた場で二人は出会い、一緒に住むことになった。お互いが一生のパートナーになるかもしれない。すごいことだ。
「やってよかったなぁ」と切に思います。
未接種パーティーは、ビジネス的な意味では、まったく割に合わない。会場の選定、参加者への事務連絡など下準備に手間がかかるし、やるとなれば丸一日潰れる。こうちゃんやロンツモのために使えたはずの丸一日をパーティーに捧げる格好になるし、金儲けという意味でなら、普通に医者として仕事してるほうがはるかに能率的です。
しかし、パーティー開催後1年の時間差をおいて、こんな喜びの声が聞こえてくるなんて。
やってよかったと思います。
誰かの幸せに貢献することは、ある意味で自分の幸せ以上の幸せです。
なんだか、変な話、僕の医者としての初心を思い出しました。そもそも僕が医者をしているのは、患者の回復を通じてそういう幸せを感じたいからだったと。